愚者のエンドロール

『氷菓』に続く米澤穂信の古典部シリーズ第二弾。これは長編の体裁になっていて、当時何年も前に読んだ時には面白いなと思ったのだけど、今読むと少し不満も出てくる。火付きの悪い主人公にハッパかけるのが、ある種どうでもいい第三者であること（シリーズ内容的にそれはヒロインの役目以外に考えられないのだが）。持ち味の動機の推理がおろそかな部分があること。すべての鍵を握る人物がほぼ全く登場しないこと。などなど。それは作中のある人物にとっては計算通りっぽいのだが、読み手としてはもやもやするしかない。全体的にわざと外している、あるいは外されている感の強い話です。とはいえ面白くないわけではなく、最終的に映画に『採用』された推理は作中でもさんざん言われている通り、面白い。とはいえそれが真相ではない。面白いパーツは揃っていて実際面白いのだが、「なんかおもしろくねーな」という内容です。前作はとても良いものだけど、これは残念ながらお勧めは出来ない内容です。