映画けいおん!


結果的にけいおんの映画は7回見ました。これだけ見たことにより、確信はないが、だいたい全ての要素を見届けられたかなという感じはします。というわけで、7回も見たということで折角なんで気ままにネタバレトークでも。


・いつものティータイム!
澪が「ムギのちゃんちゃらおかしいはどうかと思うぞ」と突っ込むと、ムギは一瞬驚いたようにして、ドンマイっ、とうれしそうに言う。かねがね澪に突っ込まれたいと思っていたムギの念願のひとつが叶ったという良いシーンです。


バームクーヘンの封を開けようとしているムギであるが、相当にのりづけが強固なようでムギが苦労している。あれは恐らく、ポテトチップスの袋のように手で簡単に開けられるものではなく、そもそも刃物で切ることを前提としたものなのだと思う。きっとムギは気付いていただろうが、場の話題作りのためと、”でもやってみたい”という気持ちでトライしていたと思います。ムギ王道という良いシーンです。


・通学風景!
唯がムギの使う駅前にさしかかったところで、ちょうどムギが出てくる。お互い、わ〜、という感じで駆け寄り両手をあわせ、そして自然に手を離す。唯の梓に対してほど過度ではなく、澪の律への突っ込みほど刺激的でもなく、じゃれあう唯と律ほどコミカルでもないが、スキンシップに憧れていたムギは、唯との自然なスキンシップというのをいつの間にか得ていた。ムギの念願の二つ目が叶っていたことが分かる良いシーンです。


・話し合いのティータイム!
梓への贈り物について話しあうムギたち。留年とかどうよというところで、梓がやってくる。何とか誤魔化すためにムギは「ドイツ連邦共和国にリューネンという都市が〜」と梓に言うのだが、ドイツにリューネンってホントに有るんですねw わざわざ難しいアドリブを選ぶあたり、アドリブが苦手そうなムギらしいと言えるが、あまり前に出ない感じだった昔のムギに比べると、今のムギの軽音部内での積極性が垣間見える。きっと律っちゃんがアドリブを引き継いでくれる、という律への信頼ももちろんあったと思います。原作に比べてアニメは、ムギのメンバーに対する信頼度、依存度が増してるって昔から思ってたけど、映画では特にそれが顕著で、良いシーンです。


卒業旅行の行き先決め。ドバイ律、ヨーロッパ唯に続き、ムギは温泉で卓球してみたいと言う。このときムギはタオルを頭に乗せて言うのだが、あれこれと楽しいことを提案したり、ボケや突っ込みを率先して決めていくことがそれほど得意ではないムギらしい”場への働きかけ方”と言える。それは、ティータイムの提供や曲作りという、何らかの形の残る方法で場に働きかけていくムギらしさがよく現れている良いシーンです。


そろそろ帰りますという梓だが、ムギたちは梓への贈り物を話しあうため部室に残ろうとする。ここでムギは梓にクッキーをお土産としてプレゼントする。結果的に一人にすることになる梓へのフォローと、梓に対してお姉さんぶろうとするムギが微笑ましい。きっと梓はムギのことを、決して”頼りになるお姉さん”とは見ていないのが涙ぐましいところで、良いシーンです。


ムスタングを忘れていく梓。唯がむったんに聞いてみようと言い、色々あり”曲”という答えが浮かび上がる。ここで唯が、「あずにゃんは、軽音部の曲も軽音部も大好きだって言ってた!」と言う。このときムギは、ニコニコとニヤニヤの中間みたいな顔をしてうれしがり、そうしようと賛同する。軽音部の曲といえばムギの手によるものだし、お茶とお菓子の軽音部は、ムギが働きかけた結果である。ゆえにこのときのムギの喜びといったら、他のメンバーの比ではなかっただろうことが想像出来て、良いシーンです。


・メールを送っていく!
ムギの自宅は作中では描かれない。原作でもアニメ1期2期でも描かれないままだったけど、映画ではそのへんを逆に生かしている。皆の自室描写がされる場所で出番がないのがムギだったが、映画では、自室描写時に何とムギからメールが皆に送られてくるのです。

アニメ→主に梓視点(2期)、日常描写主で曲作り描写はほぼなし、天使にふれたよ!を「贈ってもらう」

映画→主に先輩4人視点、アニメで省かれてる曲作り描写を多分に描写、天使にふれたよ!を「贈る」

というように、アニメと映画では物語の裏と表のような関係になっているのですが、ムギからのメールというのはそれに似た手法と言えます。もちろん、良いシーンです。


・ロンドンへ出発!
まだ暗い内に出発する。弦楽器陣は楽器を持参。律はさすがにスティックだけだが、そんな中ムギは何も持って来なかった。ドラムセットはさすがに非現実的だが、キーボードは持っていけなくもない。(常人にはしんどい荷物になるだろうが……)ずるーいとムギが嘆くのは、パワーのあるムギだからキーボードがそれほど荷物にならないから。持ってくることが容易だからこそ、持って来なかったことの後悔の念が強いんだろうことが想像できて、良いシーンです。


・成田空港!
空港なれしているからか、興奮気味のメンバーに比べムギは落ち着いている。動く床でのムギのマンボウ顔は予告編でおなじみのシーン。素晴らしいの一言で、良いシーンです。


・ロンドン到着!
ムギが物凄い勢いで携帯でメールを打ってます。見つけた熱心なムギ好きのみ味わえる感動。もちろん、良いシーンです。


・これ、あずキャッておくね〜
初出は飛行機内だが、それ以降ではこのへんからだったっけ。誰かさんが旅行中に流行らせようと言い出したのだけど、だーれだ? というまさかのけいおんクイズ。まあこの記事の流れではムギしかないのだけど。統一感や流れみたいなものに敏感で、ムギの好みや笑いのツボはそのへんにあるんですよね。旅行中、妙に回ってるものに縁のあるトコに受けたり、ごはんはおかず英語詞について話し合ってる最中、いつのまにかごはんがメインからサイドになっちゃったことに受けたり、など。旅行中、あずキャットを流行らそうとしたのも、そういう感性、センスからであると読み取れて、良いシーンです。


・寿司屋!
寿司屋でカレーを演奏後。何故か唯だけハッピ着たままなんですよね。ラブクラ登場で律っちゃんとマキちゃんが楽しそうに抱き合ってるのを見ているムギが、ムギビジョンを発動しておった。まさかこんな所でって感じのシーンだし、まさかこんなところで! っていう顔をムギもしてる。映画やアニメのムギビジョンって、凄くさりげなく作中に差し込まれてて、見ていてちょうどいいです。良いシーンです。


・キーボード到着!
メールでたぶん実家に頼んでおいたキーボードが到着します。あまり”お金持ち”であることを周囲に意識させないようにしてるのがムギだけど、お金を使うところは使っていく。そういうときはためらわない。ためらわないようにしていく。ムギにとってはこの旅行はそういう場面だったのでしょう。ロンドン到着後すぐに成されたムギの早い決断が、楽器到着をライブまでに間に合わせたのでしょう。軽音部で過ごすことでムギが得た強さが伝わってきて良いシーンです。


・ライブを終えて……
タクシーで空港へ急ぐ軽音部。梓は疲れて寝ちゃいます。ムギの肩に寄りかかりながら。佐原を含むあずムギ派が歓喜して感極まった瞬間です。律は楽しくて頼りになる。澪は考え方が近くて共感できる。そして唯には、戸惑ったり焦ったりさせられる。この三人に対しての梓の印象というのは、アニメ二期まででだいたい固まっていたのだけど、ムギに対してだけは、これといって目立つものは描かれてなかった。頼りになりそうだけど、実は世話をやきたくなる、実は子どもっぽい、という程度の印象を持っていることがある程度は読み取れるという風だったのだけど、このシーンも含めると、梓にとってムギは”……だけどそばに居て一番落ち着くし、安心できる存在”であるというのがわかります。もともと、アニメ二期でも、よく隣同士にいるんですよね。(唯は主人公で真ん中。律と澪は必ず隣り合う。ひつぜん、梓とムギが余る、というのはあるのだけど)。
冒頭のデスデビルごっこでも、律、唯、ムギはノリノリでごっこ遊びをしているのだが、ムギは途中で「梓ちゃんはどう思う?」と梓に話を振るのは、デスデビルごっこではない。律と唯がふざけあっていて、それに澪が巻き込まれる。梓はまた遊んでばっかり、などと思いつつ、面白そうだなと眺めているところで、ムギが梓を伴って輪に入れてあげるという定番の流れです。そういうことの積み重ねにより、ムギ先輩は安心できる。いてくれると安心する、という気持ちに梓はなっているのではないかと。このシーンでは、そういうものが伝わってきて良いシーンです。


・教室ライブ!
まさかの五月雨20ラブということで、HTTの楽曲を聴き込んでいた人間にとっては興奮のライブ。ラストにU&Iを演るのだけど、曲最後、クラスメイトたちのそばで楽しそうに歌う唯に合わせて、ムギは飛び跳ねながらキーボードを弾いている。今その瞬間を最大限に楽しもうとする、というムギの人間性が伝わってきて良いシーンです。


・梓に贈る曲
じゃああとは梓への曲を完成させるだけだな、というところで、ムギが曲を持ってくる。どれどれ、と楽しそうに聞く唯は、その曲を聞いて「あれ」という顔をする。律や澪も同じ。どれどれ、今度はどんな可愛くて元気でノリの良い曲なのかな、という心持ちで聞くと、確かにあの曲は、あれってなるんですよね。いつもと違う。皆の反応に、ムギはしてやったりという、ちょっと自信ありげな顔をする。もちろんこれは特別な曲だから。これこれこういう風に特別に作った特別なもの……とは、ムギは言わない。ムギは多くを語らない。まあ、映画内ではラスト手前で少し言うのだけど。作品で語る、というムギのスタンスが表されていて、良いシーンです。


・屋上
わーっと皆を盛り立てつつも、走る皆の最後からついていく律っちゃんはホント格好いいですね。このシーンは佐原がうだうだ語らなくとも良いシーンです。


・最後のティータイム
最後くらいお茶淹れようかと、という梓に対して、ムギは「だめよ〜」と笑いながら言う。多くは語れないけどこれは、いろいろな意味が込められていて、良いシーンです。


・天使にふれたよ!
あんまり上手くないけど、良いシーンです!



そんな感じで、映画けいおんについての雑感は以上になります。ムギ好きやってて良かったなあ、と思わされる素晴らしい映画でした。佐原はあまりにもムギのことばかり語ってるけど、ホントにムギがいい味出してる作品です。もちろん、他メンバーの見所もたくさんあり、見るたびに新しい発見のあるつくりになっています。何度も見たけど、まだ何度でも見たいなと思わされる映画なので、けいおん好きだけど見てないなあ、という人は是非見ることをお勧めします。では。