本当に凄かったよ

本来2011年フィギュアスケート世界選手権は日本の東京で行われる予定だったけど、震災の影響で開催不可能と判断したJSF日本スケート連盟)は、世界選手権開催権をISU(国際スケート連盟)に返上した。ISUは代替開催国を公募し、結果として世界数カ国の応募があった。打ち合わせの上最終的に、2011年世界選手権は、ロシアのモスクワで一ヶ月遅れの4月26日から開催されることになりました。長ーくなったので続きを読むに格納します。フィギュアとか安藤とかが好きな人だけ読むのがいいです。

まえがきはそんな感じ。結果としては男子は小塚君が銀メダル、女子は安藤が金メダルという素晴らしい成績。僕はまあ気持ちとしては安藤しか見てないのですがw
成績だけを見てみると、今年は6大会中5大会で優勝。フリーに限れば全試合1位というすんごい快挙。コーチのニコライの戦略によるところがかなり占めるんだけど、フリー演技で後半に5つジャンプを詰め込む構成になってることと、最初のコンビネーションジャンプを3−3ではなく3−2にして成功率高めてるところが高得点に繋がってる。演技の後半でジャンプを成功すると、基礎点が1.1倍されるというボーナスがつくのです。だから今年はフリーで気持ちいいくらい高得点が出てくれる。もちろんニコライの戦略だけでなく、ショートをノーミスで高い順位をキープしてること、そして4分半という長丁場のフリースケーティングにおいて、疲労が迫ってくる後半に5回のジャンプを成功させるという安藤のスケーター能力とメンタルの強さが一番の要因です。
とはいえ今回のフリーの演技は、決してベストの安藤ではなかった。むしろシーズン中で一番切れの悪いフリー演技だったと思う。崩れそうなところを気持ちで押しとどめてたようにも見えた。ジャンプのミスもひとつあった。それでも大崩れしないできっちりとまとめてくれたし、何より今回はショートが良かった。白い衣装でゆったりとした落ち着いた曲での演技は、癒しや祈り、優しさというフレーズを喚起させた。手の振り付けなどは、単に”柔らかい”では言い尽くせないほど感情のこもった動きになってる。良い点を出すための動きではなく、もうそれが自分自身の動きみたいに見えるほど自然に。
安藤はいつも、順位を気にせず自分らしく滑る、というようなコメントを残す。しかし今回はこう言っていた。「地震で被災した人たちのために滑る」と。地震のニュースを見たとき、試合前の自分の緊張や不安が、凄く小さなものだった、ちっぽけなものだった、と痛感したという。だから自分に出来ることをやる、という気持ちが、今回の世界選手権優勝という結果を生んだのだと思う。実際、2位のキムヨナとの最終的な得点差は1点ちょっと。もはや気持ちに左右されるレベルの差です。
 あと、今回一番良かったのはエキシビションだったと思います。本当にマジで。一度目も、アンコールの二度目もホント素晴らしいです。消されないうちにニコニコで見てください。是非。

 もともとロシアスケート連盟は被災国日本に気を使ってくれていて、日本をしのぶコメントを出したり、世界選手権のフィナーレでも、スケートリンクに日の丸が映しだされて日本勢の安藤、小塚、高橋を要に据えた演出がされるという粋な図らいを見せてくれます。
 そして2012年フィギュアスケート世界選手権開催地であったフランスが、2012年開催権を日本に譲渡するという提案をISUにしたそうです。結局これは、フランスが2013年開催予定のカナダにフランスの開催権を要求し、カナダが断ったから実現しなかったらしいですが。

 仕事してご飯食べて風呂入って寝て、という普段の生活してると、地震が起きて一万人以上の犠牲者が出た、ということをたまに忘れてしまうんです。もう過ぎたことだと。でも全然過ぎてないというか、まだ始まってすらいないわけです。復興が始まってないからね。でもなんか、安藤の演技というか、今回の世界選手権見て思い出しました。出来ることは大して無いんだけど、何かしなきゃいけない、本気にならなきゃいけない、っていうことを。