赤い指

赤い指 (講談社文庫)

赤い指 (講談社文庫)

文庫になったので読んでみた。久しぶりに東野読みたいなとも思ってたので。これは、さまよう刃が被害者側なのに対して加害者側を書いた作品。社会派といえるけど、社会の問題をこんなんどーよ的なノリで書くいつもの東野節です。まあ社会派か。加賀恭一郎シリーズものは実は初めて読んだのだけど、東野氏の意見や考え方をダイレクトに加賀恭一郎が喋ってくれるのは中々爽快ですね。作中で将棋描写が少しあるのだけど、例えるなら将棋で悪い手を連続で打ってしまい詰んだような感じ。一回だけならフォロー利くかも知れないが、こう何度も重なるとどうにもならない。どうしてこうなった、と憂うしか出来なくなる。最終的に救いはあるが、ミステリ的な落ちは要らなかったように思う。というか、オマケに近い。それを意識すると考えるべき焦点がずれてしまうので。さまよう刃もそうなのだけど、その辺ざっくりと無視しつつ、合わせて読むのがいいと思う。