ガリレオの苦悩

ガリレオの苦悩

ガリレオの苦悩

こちらは『探偵ガリレオ』や『予知夢』の流れを汲む短編集。容疑者X〜までの湯川先生の相棒役だった草薙刑事はもちろん登場するのだけど、ドラマのオリジナルの登場人物で柴崎コウの演じていた内海薫が登場し、湯川の二代目の相棒といった風に描かれている。さすがにドラマほどコメディタッチには書かれていないけど、時折ドラマを彷彿とさせるやり取りも有って楽しめます。湯川×内海に萌える、と言いかえることが出来る。聖祐巳が好きとか、祐巳祥が好きとか、そういう感情とまったく同じ。さてこのガリレオの苦悩だけど、時間軸的には容疑者X〜の後という設定で、あの事件以降、親友である草薙刑事と、ひいては警察とは疎遠になっていた湯川先生のもとを、事件のトリック解明のためということで内海薫が訪れます。ドラマのフィードバック。以降、内海は湯川の相棒役として描かれていく。ドラマのお陰で注目度が段違いになったせいか、短編としては探偵ガリレオや予知夢とは執筆における気合の入れ方が段違いに見える。どのエピソードも、そのままドラマ化しても充分な見栄えがする出来。というか、ガリレオΦ(エピソードゼロ)の原作に当たる短編も収録されている。そういう良く出来た物語性の裏で、容疑者X〜の事件以降、少し心変わりしたと思われる湯川先生の、「人間らしさの探求」のようなものが全編にわたりテーマとして描かれています。ともあれ、早くドラマの第二期やって欲しいなあと思う。