日本沈没

最近ビデオ1で百円レンタルやってるので、まあ何でもいいかなと思い借りてみた一品。主演の草なぎ君はスマップの中では地味だけど、そこが好きだったりもするので、借りてみたのでありますが。
地球のプレート移動の関係で、あと一年以内に崩壊、沈没してしまうと判明した日本。まあ流石に現実には、そんな沈んだムー大陸よろしくな事態にはならないと思いますが、ここのところ頻発する地震を考えると何となく単なるSFとしては見られないという気持ちが沸いてくるのも事実。いやないだろうけどさ。ないといいなあ。

さて当作、昔は特撮でやっていたらしいですが、今ではもちろんCGも効果的に使われています。沖合での地震による大津波、噴火による被害なんかはCGならでは。しかし特撮シーンによる被害とCGによる被害のスケールが違いすぎるのがちょっと惜しいところ。でも演出は悪くなかったと思う。
疲れきった顔で避難所から避難所を山越えして渡り歩いていく人々の絶望感と、しかしやむをえずそういう状況を受け入れてひたすら歩いていくシーンはとてもリアルでした。避難するために避難していく、という黙々とした行為が悲哀を感じさせて良く出来ています。

日本はすでに噴火や地震で全土が壊滅しきっているのですが、せめて全土の沈没はまぬがれてみせようとあるプロジェクトが進行します。地殻変動の影響でその計画も手詰まりになってしまうのですが、最後の最後、草なぎ君の活躍により、日本は3割程度の水没にだけで難を逃れます。(逃れたとも言いがたい被害ではありますが)
しかし日本は何とかその形をとどめました。そして、とどめたのなら大丈夫。世界各国に避難している人々はいつか必ず帰ってきて、日本はそれこそ戦後のように、急速に復興の道を歩んでいくことでしょう。

日本が『有る』こと。それは日本人にとってこの上なく重要なことだと思います。
単一民族国家だから、日本という国そのものが、日本人のアイデンティティーなんですよね。翻って、ボクは日本人として生きていきたい。だから日本を大切にしよう、守ろう、という映画そのもののテーマ性を感じさせます。

とまあこの映画の良くできてる部分を挙げていきましたが、草なぎ君と柴咲コウのうだうだとした恋愛模様なんかはほぼ前面スルーして見ていたので、良い部分ばかりが印象に深いのですよね。

そして最後にひとつ。
「僕は今まで自分のしたいことだけして生きてきた。でも君と出会って、『しなければいけないこと』があることに気付いたんだ」、という草なぎ君の台詞があるのです。
物語の演出としてはあまり見れたものではない台詞なのですが、ここが、「君のために」ではないところが非常に大きなポイントです。
踏まえて、きちんとその台詞の内包しているテーマを汲み取ると、その大きな志の高さに感動します。自分のためではなく、誰かのためでもなく、もっと大きなもののために命すら賭ける。そうやって勝ち取った結果こそが、自分や親しい人、好きな人に幸せを分け与えていく。
僕自身もそうなのだけど、最近の人びとにはそういう問題意識を高くする人って、なかなかいないですからね。それを言葉で表現するのは偉い評論家さんが毎日ニュースでやっていることなのですが、行動でそれを解決しようとする人はなかなか見ない。

大きな目的を持つことと、行動すること。この二つがなによりも大切なのだと、この日本沈没という映画の精神は訴えかけているのです。多分ね。多分だぜ?