MYST

ミスト [DVD]

ミスト [DVD]

久々に映画見た。有名なものですよね。いわゆるホラーものなのだろうけど、ほんと久々にホラーで怖ええと思った。霧の中のを徘徊する化け物が基本虫をモチーフにしたものばかりなんだけど、それがかつてないほど怖い。というかすごい不快感。人並みに虫は苦手なのだけど、あれでサイズが大きくなったのが襲ってきたらと思うと身震いを禁じえない。でも、本当に恐ろしいのは人間そのものなんだよという事をこの作品では強調しているという触れ込みで、霧のせいで大勢が閉じ込められた雑貨屋の中、恐怖にかられた人々を宗教に狂ったおばさんが扇動して……というところはそれはそれで確かに恐ろしかったのだが、俺はでかい虫の方が怖かったぜ。でかいカマキリとかは最早抗うすべもなく殺られてしまうのだけど、でかい蜘蛛やでかい羽虫は、なまじ五分に戦えるだけに見ていて恐ろしい。挙動がそのものだからリアリティがあるんですよ。
この映画版ではラストが原作とは違うらしく、それも見所のひとつということなのだけど。賛否両論らしいけど、深読みすれば、人間の恐ろしさ、というか愚かさを表現していてよく出来ていると思う。主人公の絶望に共感し、そのすさまじい苦渋の選択を受け入れたのなら尚更のこと。あの状況で霧の中からアレが出てくるのは……もはや絶望するしかない。
ただ、愚かさを書くならば、それを乗り越えた何らかの答えも提示して欲しかった。この映画、率先してことごとく何かをしようとした人間が不幸になってる。序盤でしなくていいのに発電機を直そうとした人は速攻殺られたし、化け物の存在を信じずに現実的に助けを呼びに行った弁護士も殺された。宗教おばさんは生贄の段で味方の序盤からの理解者に銃で殺された。主人公や理解者含めた味方たちは車で脱出するけど、虫退治でも活躍してた理解者は化け物に殺される。最後は主人公たちも……と。これではなにもせず息を潜めてじっとしていた人間が正しかったことになる。それはそれで勇気ある選択なのかもだけど、何か納得できない。
ただまあ、そこまで二時間に要求するのは酷かも知れない。そこまで深読み無理難題要求せずとも、すんごい面白い映画だと思います。やな夢見そうだぜ。